Su-7BM FITTER MODELSVIT


Su−7はその後の発展型であるSu−17(22)にまで発展をしながら30年に及ぶ長期生産をなし得た機体です。
元々Su−17という機体で世界初の音速を超えるジェット戦闘機を開発していたスホーイでしたが、一旦設計局が閉鎖に追い込まれたりしたことなどもあり
その計画は途中で止まっている状態でした。
スターリンの死後、設計局再開の許可が出るとスホーイは中断していた計画を再開させます。
Su−17では機体強度も不足していたため、全体を再設計することになりプロトタイプであるS−1が完成します。
搭載エンジンは当時最も強力なリューリカAL-7Fを搭載し、1955年9月7日に初飛行を成功させました。
スホーイではSu-7と異なるデルタ翼を持つ機体を並行してテストしていましたが、こちらの機体も正式採用となりSu-9として配備される事になります。

元々迎撃機として開発が始まった機体であったSu-7ですが、搭載燃料や兵装の少なさから本格生産となるB型からは戦闘爆撃機として生産されました。
強力なエンジンと強い後退角を持つ主翼のおかげで低空でも高速飛行が可能であったSu-7は核爆弾運用能力も持っており、その高速低空侵攻能力と核兵器との組み合わせが
当時としては戦術的にも魅力的だったのかもしれません。
本格生産がはじまったB型ですが、実質生産されたのは最初の2年程度でその後BM型に生産が切り替わります。
BM型になり、主翼内部のインテグラルタンクが拡張されたり胴体上に配管用の膨らみができたりという特徴があります。
さらに3年後にはBKL型に生産が切り替わります。Su-7としては最終モデルと言えるBKLには主脚にソリが付くようになったという特徴がある他に
主翼のハードポイントが片側2ヶ所に増やされている事が上げられます。
なお、それまでに生産されたBM型なども同様の改修がおこなわれています。

後退角の強い主翼を持つSu-7は高翼面加重となり離着陸距離が非常に長くなるデメリットがあり、その打開策として可変翼型の開発が始まりました。
そうして出来上がったSu-17は主翼の構造変化や装備充実などで機体重量はSu-7から1000kg近くも増える事になりましたが、
結果としては離着陸距離は大きく短縮され、航続距離も増加など効果を発揮する事ができました。
輸出型のSu-22と合わせて1990年まで生産が続いたこのシリーズは旧ソ連のジェット戦闘機開発を担う重要な機体であったと言えるでしょう。


今回製作したキットはウクライナの新興メーカーと言える「モデルズビット」の新製品です。
製品はまだ3種類目であるにも関わらず、2作目に1/72でAn-124をぶつけてきたとんでもないメーカーです。
このページを作っている段階で日本の輸入元であるバウマンさんのHPを見るとそのAn-124とYak-1Bは生産休止となっています。
もしかしたら各製品が少数ロットしか作らないメーカーなのかもしれません。
パーツを見ていくと気が付くのはウクライナ方面の製品によく見かける「Master」と刻印のあるランナーです。
他にも小さな文字で刻印があるのですが、潰れ気味なのもあって判読できません。
恐らくこの地域では設計はメーカーが行い、射出成形は別企業がほぼ一手に請け負っていると思われます。
パーツの状態は基本的に良好な部類です、大きなバリや湯廻り不良、異物混入なども見られず胴体内側などの完成後に見えない部分も綺麗な成形です。
組み立て図もちゃんとした図面が用意されていてスッキリしており好印象です。
この製品ではマーキングも旧ソ連空軍3種類、チェコスロバキア空軍2種類、ポーランド空軍1種類と充実した内容です。
ステンシルもアクセスパネル用など充実しており、特に別売りを期待する必要もないはずです。
ソフターがやや効きにくい印象ですので、パネルラインにまたがるような部分は切り込みを入れてあげるくらいでも良いでしょう。
コクピットはバスタブではなく箱組みでショックコーンも一体になる実機に則した構成です。
完成すると見えませんがコクピット側壁にちゃんと風の通り道ができます。
計器板やサイドコンソールはデカール仕上げですが、見えなくなるラダーペダルや立体的な彫刻もあってとてもよく出来ています。
パーツ同士の合いも良く、ガリガリ削り倒したりモリモリパテをなすりつけるような部分もありません。
強いて言えば脚は接着面積が小さい為、心配であれば金属線などを併用すると良いかと思います。
作例ではモールド類はほぼ全て彫り増しを行い、リベット追加をしています。
シルバーはガイアのスターブライト他、クレオス8番、スーパーファインシルバー、スーパーアイアンなどなどあれこれ使っています。
機首のアンチグレア、主翼のウォークウェイは塗装後に爪楊枝で削って塗装の剥がれを本当に剥がして再現。
脚カバーは非常に複雑怪奇な構造をしているのが特徴で、取り付け位置や角度は実機写真を元にしています。
主翼のパイロンは脚カバーに干渉しないように途中から外向きに折れ曲がっているという構造をはじめて知りました。
こんな小さな発見があるのが面白いですね。
モデルズビットさん、猫背になる前の初期型Su-17を出してくださーい。




生産初期のタイプではマッハ2.1を誇る高速機だった。




主翼は25%翼弦で60°の後退角!




コクピットの出来が良いのでキャノピーを開けても良いと思います。


ウォークウェイの黒い部分は爪楊枝でひっかいて剥がしています。


面倒だけどアクセスパネルを塗り分けると単調にならず良い雰囲気になります。


付属の兵装は爆弾1個。


前脚庫もしっかりした奥行きとディテールがあります。

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