MiG-25PD Foxbat KITTYHAWKMODEL


1976年9月6日、それまで聞いたことの無いエンジン音と共に函館空港に舞い降りてきたのは
本来そこにいるはずのない赤い星を纏った戦闘機であった。
滑走路を一度上空から確認した後に着陸した機体は1972年に部隊配備がはじまったばかりの最新鋭機「MiG-25P」であった。
パイロットのベレンコ中尉はアメリカへの亡命を望み、配備からたった4年の最新鋭機を手土産にするにはおつりがきてもおかしくない条件だった。
当時のソ連ではパイロットへの待遇が劣悪とも言えるような状況で、それを苦にした亡命だったと言われている。
一方、トラの子である最新鋭機を西側の白昼の目に曝されたソ連はたまったものではなく、想定外の機体アップデートを強いられることとなる。
改修されたのは機首下へIRSTを追加装備、レーダーをサプフィール25に、コマンドシステムを更新、IFFシステム更新等を行っている。


というわけで、かつてのレベル製キット以来の1/48スケールで登場したKITTYHAWKMODELのMiG-25です。
亡命事件のこともあって、当時を知る日本人には馴染み深いソ連機のひとつと言えるかもしれませんね。
当時私はまだ5歳(歳がバレるな)で事件の記憶などまったくございません。
さぞや大人達は騒ぎまくっていたのだろうと、想像もたやすい事件です。

さて、キットはその期待も含めて発売前から話題になりました。
店頭でも最初の入荷分は早期完売だったようで、その人気ぶりもうなずけます、が。
製作となるとその期待感、わくわく感など諸々の喜びは早期に消えうせます。
メーカーが発売前に公開した画像では、複座型のPと偵察方のRを含めた写真が公開されており、後にバリエーション展開することが確認できる内容でした。
パーツ点数はそれなりに多く、武装関連もかなり充実した内容になっています。
戦闘機型であるPDとして製作するわけですが、先に記したようにバリエーション展開を前提にしているため
複数箇所にPDには存在しないディテールが散見されます。
それらを除去することになりますが、他にどこにも繋がらないパネルラインもちらほらと存在します。

胴体は軽く波を打っていたりしますので、上下面を接着する際は補強を入れたりしながらの作業となります。
水平尾翼を取り付ける部分は右側の穴が塞がってしまっている為、穴を再生してからの取り付けとなります。
胴体上面の一部は凸パネルなのでプラ材で再現しています。

主翼はPDの特徴である主翼前縁の後退角変化は再現されていない為、それを再現しています。
その主翼ですが、翼端側に2種類のパーツが用意されています。
その接着面はカギ状の接着面となっており、キットの塗装図面にもそのラインが残っていますが、実機には存在しないので消しておく必要があります。
エルロンの基部にはアクチュエーターロッドがありますが、位置を内側に変更すると共にプラ材と真鍮パイプで作り直しています。

ベントラルフィンはモールドがPDとは完全に異なるので一旦凸凹モールドも含めて削ってから彫りなおし。

大きく迫力のあるノズルは立体感のあるパーツで構成されていますが、実はPDの排気ノズルはショートタイプノズルでその後端は垂直尾翼の下端と同じ位置になります。
キットのノズルはR型などのロングタイプであるため、これをショートタイプに改修しています。
このキットで最も大きな改修ポイントとなるのがこの部分ではないかと思います。
また、ノズルの奥行きも深すぎるのでおよそ半分程度カットして使っています。

機首は上面のアンチグレアにあるIFFアンテナ、その前にあるアンテナブレードがオミットされてしまっているので自作して取り付けています。

インテーク内部はキットの図面ではベーン上面が垂れ下がってインテーク内部を塞ぐ構造ですが、これはあり得ない状態なのでエッチングを貼り付けるパーツは
そのままダクト奥方向へ向けて接着し、プラバンで自作したFODを取り付けています。

垂直尾翼の放電策は真鍮パイプで作りなおし、ラダーの後縁ラインも垂直尾翼本体側と合うように修正。

取り付けたミサイルR−40は大きい方のフィンが本体から少し垂直に立ち上がってから傾斜するラインを成型しますが、
実際には根元から傾斜するラインなのでフィン下をカットして取り付け。

後脚は金属シャフトをインサートして組み込む構造ですが、中間のリンク部分の角度が浅いので角度を少し大きくして製作。
前脚と共にパイピングを施しておきました。

塗装はキット図面ではレドーム等にグリーンを指定していますが、資料を見る限り運用当時にグリーンを使っていた機体は恐らく無いはずです。
また、垂直尾翼右側の塗り分けも実際と異なる為注意が必要です。
基本となるグレーはキット指定の色を塗り、パネルライン等にシャドー、明るいグレーでパネル内部に退色表現。
スミ入れはブラウンを基本に行い、デカールを貼ってツヤ消しクリアーでオーバーコートとなります。
また、旧ソ連時代の機体はキャノピーがすぐ黄変するのでパーツの内側から薄くクリアーイエローを吹き付けています。

色々と手のかかるキットですが、完成時はそのボリューム感と存在感はバツグンです。
苦労が報われた気分ですが、それだけ疲れるということでもありますね・・・(^^;



















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