塗装
( ワンポイント )

塗装というのは言わば「作品に命を吹き込む」という大切な工程ではないかと思います。
ここでは私なりの塗装のワンポイントについて触れています。


「黒」は黒じゃない!

 キットの塗装指示に「ツヤ消しブラック」「ブラック」の指示がある場所は結構あります。
 たとえばコクピット内部のシートやグレアシールド、コクピット前方のアンチグレアやタイヤなど
 わりと細々と「黒」指定の箇所はあるものです。
 
 私はそれらの部分にはそのまま「黒」を塗りません。
 スケールモデルにおいて、実際の色より明るめに塗装をするのは定番と言える技法のひとつですが
 「黒」はその結果や効果が顕著に現れる部分だと思います。
 ツヤ消しブラックにおいてはライトグレーなどを混ぜ、明度を上げて塗装します。
 そのメリットは本当のブラックでスミ入れが出来たりしますし、さらにエッジにハイライトをのせることで
 真っ黒に塗るよりもパーツのディテールが生きてくるというのが長所になります。
 実物を目の前にする機会があれば、一度プラ板などを真っ黒に塗装した物を持って行き比較するのもよいでしょう。
 確かに色としては黒なのですが、実物もいくらか塗料の色より明度は上がって見えるはずです。
 
 また、F-117やSR-71、U-2などの黒い機体も同じように真っ黒には塗りません。
 明度を上げたり、後の退色表現などで明度を部分的に上げてやることで立体感のある作品になります。
 私はそれらの機体塗装にはベース色としてクレオスのC71・ミッドナイトブルーを使います。
 その後に立体感を出す為に面ごとの色味を変えてアクセントを付けていくようにしています。
 この方法は最も簡単で効果的だと思いますよ。


シャドーを乗せる

 これは模型ならではだと思うのですが、主翼と胴体の接合面やインテークダクトの影部分など
 機体の面が直角などで急激に変化する部分に薄いグレーなどでシャドーを入れます。
 これもまた立体感を強調したり、意図的な影を作ることで「らしさ」を作り出す為に行っています。
 これは小さいスケールになるほど効果的な気がしますが、好みという部分もありますのでどれくらいの影の濃さにするかなど
 各自で色々と試していただくのがベストではないかと思います。


万物共通の汚し方

 これは機体の色に関わらず、最近はほぼ全ての作例で共通する表現方法です。
 クレオスのC101・スモークグレーを使って細い線で機体側面に上下方向の線を吹き付けるという手法です。
 エアブラシを上下に素早くうごかしながら機首から後方にかけてササッと吹き付けます。
 この時の塗料は濃度は薄めで行い、強調したい部分は重ね吹きをするようにしていけばOK。
 ちなみに理想は0.2o以下のエアブラシを使うのがベストだと思います。
 慣れてくればリベットラインを表現したりすることも可能です。(ランダムに吹き付けてもそれらしく見えちゃいますが)
 
あと、あると便利なのはタミヤのウエザリングマスターです。
 上手く使いこなせばオイルのにじみや無塗装金属地部分の焼け表現など、幅広く使える場所があるので機体の種類や
 国籍など関係なく使えるからです。
 実際、私の作例でもフランカーやMig-21などにこれらのウエザリングマスターを使用しており、フランカーのノズルや胴体の無塗装部分は
 基本色のシルバーを吹き付けた後、ウエザリングマスターだけで焼け表現をしています。
 クリアーブルーやクリアーオレンジなどの塗料は一切使っていません。
 


退色表現

 部隊配備されている戦闘機は、納入されたばかりの機体などを除いて大抵が汚れたり、退色したりして独特の雰囲気を醸し出しています。
 定期的なメンテナンスがしっかり施されている米軍や自衛隊の機体においても例外ではありません。
 また、IRANなどのメンテナンスで部分的に塗装されたり補修されたりすることで色ムラや汚れ方も機体ごとに変わります。
 
 退色表現としては色々ありますが、私の考え方としては「元の色が薄れていく」というのが基本となります。
 よく黒ベースで本来の指定色を乗せて行き、パネルラインやリベットラインを残し気味にする方法を目にしますが、あれは退色とは別の表現だと思っています。
 どちらかと言えばディテールを目立たせる手法と捕らえています。
 また、実機ではパネルラインなどの部分というのは何故か色抜けが遅くなる傾向がよく見られます。
 色抜けは紫外線などの影響が大きいわけですが、外板の下に構造材があるか無いかでその影響が異なる事が理由かと思いますが
 そのメカニズムはよく解りませんのでここでは無視します。
 
 で、それらの要因などを踏まえて私が最も簡素な退色表現としているのは、○まずは指定色で塗装→○デカールを貼る→○薄めたホワイトorグレーでパネルの中を塗る
 というパターンです。
 この時使用する薄めたホワイトやグレーはくれぐれも乗せ過ぎないことが基本です。
 元の色が単色であればリカバリーも容易ですが、迷彩で失敗するといささか面倒な事になります。
 少しづつ塗って、乾かした状態をチェックして、どの程度の吹きつけで「らしさ」が出るかを確かめながら進めるのがベターでしょう。

    

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