塗装
( 塗ってから何時間も待てるか! )

塗装の乾燥時間というのはこれまた時間を取られがちな工程です。
1色塗って(塗る場所や面積にもよりますが)半日とか1日とか、結構な時間をかけるのも多いと思います。
その最たる所はカーモデルやバイクなど、ツヤのある美しい塗装でしょう。
乾燥時間を早め、異物の付着を防ぐドライブースを利用されている方もいると思います。

飛行機(現用ジェット機)においてはたして同じことが言えるか、と言えばさにあらず。
私は塗装にも時間をかけたくありません(笑
もちろんウエザリングやパネルごとに変化をつけたりということはしますし、その作業自体はマスキングしたりしますから
ここでは単に「1色の色を塗る」という見方で書きたいと思います。

例えば現用ジェット(米軍や自衛隊)のグレー系迷彩を塗装するとしましょう。
この場合、クレオスで308番と307番の2色とします。

最初に明るい308番を塗装してからマスキングして307番を塗るのですが、まずエアブラシで308番を吹き付けます。
塗膜を厚く塗るのだけは最も避けておかなくてはいけない事です。
その色に発色した所を見極め、それ以上は塗りません。(ここは経験値と比例する部分だと思います)
ロールアウトしたての綺麗な機体を再現するならムラにも気をつけますが、そうでないなら多少のムラは気にしなくても良いでしょう。
なぜならその後のウエザリングなどで全体のトーンを調整してしまうからです。

さて、乾燥です。
最低限の塗膜の厚さで塗り終えたら、私はここでドライヤーを取り出します。
およそ40センチ〜50センチほどの距離を空けて温風を吹き付けます。
じっとして同じ所に吹き付けるのではなく、ドライヤーを小刻みに左右に振ってランダムな風をあてます。
同時にキットも色々と向きを変えて、いろんな角度から風があたるようにします。
冬場などはエアコンの温風がそよそよとあたる場所に置いておいたり、季節によって変化します(笑
ちなみに冷風はダメです、ちっとも乾きません。
数分あてていると、表面はしっかり乾いてしまいます。
手で触れても問題ないレベルになったら、何箇所か触れてみてプラの表面温度を確認します。
なま温かいくらいでセーブしないと薄いプラ部分などは変形してしまうのでそれだけは気をつけましょう。

手で触れて圧力を少しかけて塗膜に指紋が残らない状態になればほぼOK。
マスキングをして次の307番を塗ります。

その作業を繰り返してどんどん色を塗っていくわけです。

私は「綺麗に仕上げることと“らしく”仕上げることは別の事」という考え方です。
実機を間近に見た事がある方ならご存知かと思いますが、戦闘機の機体表面というのは思いのほか色々な汚れや
塗装の補修跡などで決して「美しい表面」ではありません。
塗装はムラなくピカピカのロールアウトしたてなのに、ウエザリングでオイルの流れた跡だけあちこちにある、というような
状態というのは実機ではありえない姿ですし、万が一実機にあればその機体は大問題を抱えているハズです。
人が触れ、長年使われ、ススやオイルに触れ、雨風に曝され、時には戦いの場に出向く。
そんな雰囲気が私の中にある「戦闘機」の姿なのです。
実機のコクピットに座った事がある方は記憶にあるかもしれません、コクピット内部というのは意外に機械オイルのニオイがするものです。
それは旅客機の室内とは対極的な、独特な空気感があるものです。
近代の電子機器のカタマリのような機体であっても、そんな部分がまた魅力的だと感じてしまいます。
最終的にキットが完成したとき、そんな自分のイメージが反映されていれば私は満足なのです(^-^)

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