A-10 THUNDERBOLTU  TAMIYA


ベトナム戦争において、対地攻撃任務や近接航空支援作戦において米軍ではF-105やF-100などの超音速機をベースとした機体で作戦運用をしていました。
しかし元々それらの機体を爆撃任務に就く想定というのは核兵器による攻撃を想定していたため、動く車両や小規模の陣地や塹壕、
レーダーサイトなどをピンポイントで攻撃する作戦には不向きでした。
結果、スカイレーダーなどのレシプロ攻撃機が重宝されることとなりますがベトナム戦争後はその極端な低残存数に加え老朽化などによってT-28、A-37に移り変わっていきました。
1970年に入り、アメリカ軍は各メーカーにソビエト軍機甲部隊への対応能力、全天候戦闘能力等を持たせた機体を提案要求し、ノースロップ社とグラマン社が提案したものを
YA−9A、YA−10Aとして試作が始まりました。
その後1973年にYA−10AがA−10として正式採用となり、1977年には最初の飛行隊が実戦配備となり、機体の生産は1984年まで続き719機が製造されることになりました。
そんな中、1980年代末になると夜間運用能力の不足、事前の制空権確保が必要な運用特性などが問題として見られはじめ、A-10の存在意義に疑問符が付くようになります。
それ故にLASTEという改修計画も1991年まで棚上げされたままとなってしまいます。
その1991年、A-10の運命を大きく変える出来事が起きます。
「湾岸戦争」がその最大の要因です。
砂漠という環境で思うように活躍できずにいたアパッチをあざ笑うかのようにA-10はキルスコアを増やしていきます。
その戦果は戦車987両、装甲兵員輸送車約500両、トラック1106台、対空陣地50ヶ所、SAMサイト9ヶ所、レーダーサイト96ヶ所、スカッドミサイル発射台51基、Mi−17撃墜2機、地上航空機破壊10機などなど、まさに機甲部隊撃破という本来の性能をフルに見せ付ける事となります。
この活躍によって当初はF−16にその任を譲ろうかと言われていたA-10は高い評価を得る事となり、棚上げされていたLASTE改修も全機改修となり、加えてNVG適合化も合わせて行われる事となります。
1994年には運用寿命の延長が決定され、1999年からホッグアップ計画として実施が始まりました。
このプランと並行して精密交戦プログラム能力向上計画がスタートし、スパイラル・ワン、スパイラル・ツーの2段階で改修が加えられています。
これらの改修ではグラスコクピット化、HOTAS概念導入や6箇所のハードポイントに精密誘導兵器の搭載能力付与、スナイパーXR/ライトニングATターゲティングポッドの運用能力付与、新型エンジンへの換装などなど、その戦闘能力を大幅に更新するアップデートが多数施されています。
これら改修を加えた機体をA−10Cというタイプとして分類されます。
これらの改修で機体は16,000時間の耐用飛行時間に延長され、2028年まで現役となる予定です。

キットはタミヤからリリースされているウォーバードシリーズのもので、中身はイタレリ製キットです。
このシリーズは価格がリーズナブルなのがメリットで、ちょっと少ない予算で何か作りたい時には大変重宝するシリーズです。
パッケージはグリーン系のヨーロピアンワン迷彩ですが、今回はトゥーボブズデカールを使用してグレーのロービジで仕上げてみたいと思います。
製品そのものは製作もしやすく、コクピット内部のディテールも良い雰囲気で立体化されています。
A−10のキットは全スケール共通でかなりのテールヘビーなパーツ構成になってしまいます。
機首部分へのオモリは「これでもか!」というくらい詰め込んでおくのが間違いない選択です。
実機の解説にもあるように、湾岸戦争以降は近代化改修が加えられているため機体各部のアンテナなどのディテールに変化が生じています。
キットは標準的なA型なので機首側面や垂直尾翼下部、テールコーン先などにアンテナを追加しています。
完全なC型にするにはコクピットも2つMFDを装備しなくてはいけませんし、コクピット後方の胴体上にGPSアンテナなどの追加装備も必要です。
今の所、C型を再現できるキットが存在していないので残念ながらそれらは自作するしかありません。
またアフターパーツも発売されていないので、どこかこの隙間を埋めてくれると嬉しいのですが・・・。

A−10と言えばその多彩な兵装が悩みのタネにもなります。
レーザー誘導爆弾などの精密誘導兵器は近代化改修後に運用能力が付与されたので、今回の機体には比較的オールドファッション気味な装備をメインに装着します。
それでも全てのステーションに兵装を装着するのは大変です。
作例ではキット付属の爆弾の他、ハセガワのウエポンセットからジャミングポットなどを持ってきています。
また、マーベリックを自機誘導できるようにライトニングATポットを吊るしていますが、これはC型の装備品なので「フェイク装備」です。

塗装はデカール付属のマーキング図面を元に塗装しています。
コクピットのある部分下面にはフォールスルーキャノピーがマーキングされています。
塗り分けラインは練り消しゴムを使っています。
A−10の場合、エンジンや尾翼の形状と配置のおかげで塗装がいささかやりにくい部分があります。
ここはやはりエアブラシがあるほうが圧倒的に作業もしやすいはずです。
缶スプレーでははっきり言ってリスク大ではないかと思います。
どんな迷彩であれ、この機体を作るにあたってエアブラシをお持ちでないのであれば是非お求めすることをお勧めいたします。
勿論、筆塗り派の方はそれもありですね!







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